ヴァレリー by 清水 徹 その一

100719.jpg ヴァレリー 知性と感性の相剋

 ポール・ヴァレリーと云えば 20世紀を代表する知性 フランスの詩人 批評家 思想家 私が知ったのは「レオナルド・ダ・ヴィンチの方法」なのだが この岩波新書は 女性遍歴にスポットを当てながら判りやすく その時期に合わせた代表的な作品・論評を紹介解説している 少しだけヴァレリーの言葉を紹介 最も有名な詩 若きパルク より

  風も吹かないのに このすすり泣くような音は何でしょう?
  この時刻 ひっそりと 星空の下で泣くのは誰?
  泣こうとするわたしの傍近くで

  この手は 何か深い意図に導かれたように
  わたしの顔に触れることを夢み
  わたしの弱さから涙が零れ落ちてくるのを待つ
  わたしの運命から分かれた純粋さが
  沈黙のうちに引き裂かれたわたしの心を照らす
  うねった波は非難の言葉をわたしにささやき
  岩のまにまに佇んでは
  苦々しく呑みこまれた者のように
  心を締め付けるようなうめき声を立てた・・・

  何をしようというのでしょう 毛を逆立て手を凍らせ?
  わたしの裸の胸の谷間にへばり付いている
  この落ち葉のたてるざわめきは何?
  わたしは輝く この未知なる空につながれながら・・・
  わたしの渇きに呼応して 無限の葡萄がきらめく 

  全能の異邦人 宿命の星々
  遠く離れたところで時を同じくして
  自然を超えた何ものかを輝かせているものたち
  お前はわたしたち死すべきもののうちに
  この至高の光芒 不敗の武器 永遠への希求を 
  涙のしずくのように投げ込むのですか?
  お前とともにわたしはあります 震えつつ寝床を離れ
  波に浸食された暗礁の上に立って そして自分の心に
  訪ねるのです 如何なる苦悩がわたしの心を目覚めさせ
  如何なる罪をわたし自身が犯したのかと
  あるいは罪悪が夢に混じってわたしを追いかけるのかと

  金色の灯がさやかな微風に消え入った時
  わたしは腕を組んでこめかみを押さえ
  わたしの心が輝き出るのを長い間待っていました
  わたしはわたしの肉体の主人なのに
  その肉体は横たわり震えながら硬直するばかり
  わたしの身はとらわれて 血は滞り
  くねくねと左右に動きながら 視線を走らせ
  深い森に眺め入っている自分の姿を見るのでした

眠いので明日付加します だからその一 すみません

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