熟読

201101151.jpg  悲しき熱帯2 /  レヴィ=ストロース 著 川田順造 訳

 

 久しぶりに本を読む喜びがわいてきた一冊 一気に読むことは出来ないが 楽しみながら考えながら 名著とはこういう本で 12年を費やしたという翻訳のすばらしさが さらに本の品格を後押しさせていると思う

 ストロースは20世紀を代表する思想家で「構造主義」の祖(2009年11月4日 100歳死去) で 構造主義とは 社会と文化の根底にあり それを営む当人たちにも明確に自覚されていない構造を取り出す分析方法が構造主義である レヴィ=ストロースの分析は 私たちの自覚的な意識や主体性に いわば無意識の秩序が先行していることを示している・・・ストロースはマルクスに傾倒し パリ大学で法学 ソルボンヌで文学 ルソーを愛読し 哲学の教員資格を取った後 ブラジル・サンパウロ大学に 2年間の生活の中で先住民部族を訪ね さらにフランス帰国後にブラジルへの調査隊として6ヶ月広域調査 ユダヤ系であったため大戦中は苦労をしたようである その後は割愛

 実は1は読んでいないのだ それでも言葉の巧みな文学的な探検旅行記として 文化人類学的観察のすばらしさ 1939年代のブラジル奥地の原始的な生活から人間の根源と本質を語り 文明批判も さらには原始的社会が文明社会の未来像を提示しているとも 女性 民族 政治 特に 首長の言われる男が何故首長になるかという考察 「他の人間とははちがって特権そのものを愛好し 責任を持つことに惹きつけられ そして公の仕事の負担そのものが報酬であるような人間がいるからである」 厳しい劣悪な環境の中で調査する中で彼が体験し考察する様々な言葉に うなずきながら イスラムの精神解説に納得し こりゃ1も読まなきゃなあ そして翻訳家川田さんの「ブラジルの記憶  悲しき熱帯は今」もね     

 

201101152.jpg Mais / Marisa Monte  1991

 

 ブラジルに関する本だから無理矢理ブラジルのカントリーフォークとします マリーザ・モンチは1967年リオ生まれ マリア・カラスからローマへ音楽留学中にビリー・ホリディを愛し ブラジルに帰国しポピュラー音楽の道を・・・知ってるCD彼女の2枚目 これっきりなのですみません 日本では知られていない? どうも素直な歌い方ではないのでとっつきにくいところもあるが 巧いのでしょうしオリジナリティもある 私の知識ではオリジナルなのかカヴァーなのかも判らない有様だけど6曲目「Borboleta」は良いですねえ でも紹介するのは Não é Fácil.

 

 

良い本と良い音楽に巡り会うのは幸せです

 

 

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