陰鬱


201107082.jpg 六号病棟・退屈な話(他5篇) チェーホフ (著) 松下 裕 (翻訳) 


 面白く読んだので私にしては長い紹介文を書いたがエラーが生じて保存できず復活も出来ず まさにこの本のような心境になった 人生こんなモノだよ と 半分くらいになりました

 暗い暗い 今頃どうしてチェーホフ ロシア文学ならトルストイやドストエフスキーだが 本屋さんで手に取ってしまったから読んでみたが失礼ながら面白かった 言葉が難しくないし 短編中編だから飽きないし いっきに読んでしまったが 後味は良くない モスクワ大学医学部卒業の彼らしく医者医学関係のお話ばかり ハッピーエンドじゃない 蟹工船を思い出したりして でも良い文学作品だしお薦めかなあ

 「退屈な話」 賢く名声も得た老教授が味わう日常で味わう人生の敗北感 衰えていく自分 死を身近に感じた頃 自分の周りから人が離れていく孤独 でも自分は変われない無力感 なんのために生きるのか 「かつては金だけを軽蔑した ところが今は悪い感情を抱くのは金に対してではなく まるで彼らに罪があるように金持に対してなんだ かつては暴力と専横を憎んだが 今は暴力を用いる人びとを 罪があるのは彼らだけで 互いに育てあうことのできないわれわれみんなではないかのように 憎んでいる これは何を意味するか?」 私もそうだけど自分では判っていてもなかなか人間変われないよ でもそれだからだめとも言えないし 常に謙虚であれと言い聞かせる(反省する)くらいで

「六号病棟」 悲惨な話でこれは辛い 無気力無秩序な病院に赴任した院長が やがて崩れていき 自分の世界に入り込み周囲との壁をつくって孤独になっていく 六行病棟という精神科に入っているインテリ患者との交流から 精神病の疑いをかけられ悲劇的な結末を迎える話 読んでいても憂鬱になる 「・・・よくよく考えてみれば あなたもおわかりになるでしょうよ われわれを落ち着かせない外部のことは どれもこれも取るに足りないものだってことがね 必要なのは 人生の理解に努めることですが その中にこそ 真の幸福があるのですからね」 なんだろう もちろんホラー映画を見て「なんでこんなもの」と思うのとは違う 人生訓を認識できたらよいのだろうが 文字から掴めきれない

 チェーホフは30歳前後にこの2編を書いている 死を見つめて人生の意味を説いているのかもしれないし 医者の自分への戒めか そう言えばLUZAZULのゲストピアニストだった阿部篤志さんが池袋芸術劇場での「チェーホフ」音楽監督していましたね 昨年が生誕150周年 だから頭のどこかに残っていて この本買ったのかな・・・


      

 
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